2019-11-01から1ヶ月間の記事一覧

百物語 九十二回目「夜明けの歌」

気がつくと、波打ち際にいた。僕はいつのまにか、海辺に佇んでいた。一体どうやってその鈍い鉛色に光る海の側まできたのか、全く記憶はない。乳灰色に輝く泡を飛ばしながら、波が打ち寄せまた退いてゆく。僕は、凶悪さすら感じる冷たい風を頬に受けながら、…