2019-09-24から1日間の記事一覧

百物語 七十八回目「見知らぬひと」

僕は、その薄暗い部屋のなかで。愛するひとを腕にだきながら。ああ、一体このひとはそれにしても誰だったのだろう。そう思いながら。こころの底の闇の中を。ただひたすら手探り続けるのだが。腕の中のそのひとの。美しい花びらのような唇も。黒い太陽のよう…